SHIBUYA CAST./渋谷キャスト

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2017/06/02

<EVENT REPORT> オープニングイベント クリエイターズトークセッション

クリエイティブコミュニティの集合知で行う施設デザインと運営~そこから生み出される新しい価値とは~
<EVENT REPORT> オープニングイベント クリエイターズトークセッション

住居、シェアオフィス、広場、多目的スペースといった用途ごとのデザインから、サインやファサードデザイン、照明の演出、施設の運営方針に至るまで、 さまざまなクリエイターによる思考が巡らされている渋谷キャスト。オープンを記念して、渋谷キャストの設計、建築、運営などに関わるクリエイターたちが一堂に会し、 トークセッションが行われました。

今回のトークセッションでは「キャスティングの妙」をテーマに、プロジェクトの構想から、設計・組織手法、施設運営のコンセプト、 そして渋谷キャストから発信される未来の渋谷への構想について話が繰り広げられました。

 

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まず、ファシリテーターである「co-lab」春蒔プロジェクトの田中さんからセッションテーマである「キャスティング」の重要性について解説がありました。
渋谷の街が個人のクリエイターの集積によって形成されているように、渋谷キャストでも、大企業が単独で施設を建設するのではなく、若手建築家やデザイナーが集まり、大企業と協働しながら一つの場所をつくり上げる、そうしたデザイン手法が試みられています。

 

今回トークセッションに集まったのは、渋谷キャストのプロジェクトにキャスティングされた設計者、デザイナーや運営オペレーターなど下記11名。

 

 

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開発事業者:東京急行電鉄 水口貴尋
マスターアーキテクト:日本設計 建築設計群チーフアーキテクト 市丸貴裕
ファサード・ランドスケープ デザイン監修:noiz architects 豊田啓介
貫通通路インスタレーション/ガーデン 照明演出監修:rhizomatiks architecture 齋藤精一
制作:rhizomatiks design 有國恵介
シェアオフィス デザイン監修:POINT 長岡勉
コレクティブハウス デザイン監修:成瀬・猪熊建築設計事務所 成瀬友梨・猪熊純
コレクティブハウス 「Cift」発起人:prsm 藤代健介
ファシリテーター(施設デザインディレクション・シェアオフィス運営):「co-lab」春蒔プロジェクト 田中陽明
モデレーター:Open A 馬場正尊

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会場に敷かれたレッドカーペットも相まって、ずらりと並ぶと映画の完成披露記者会見のよう。 個性豊かな顔ぶれに、まるで映画「オーシャンズ11」みたいだという冗談もありましたが、まさに映画が脚本、撮影、美術、照明、編集など、 あらゆる分野のプロフェッショナルが集まってつくられるように、渋谷キャストも各分野で活躍するクリエイターの集合知によってできていると言えます。

 

続いて、東京急行電鉄の水口さんから渋谷キャストのプロジェクト全体の概要、日本設計の市丸さんから「不揃いの調和」という設計コンセプトについて解説がされた後、 各クリエイターの方から、それぞれ担当したデザインコンセプトやプロセスを伺いながら、それがどのように一つの場所として調和されていったのか探っていきます。

 

前半はnoiz architectsの豊田さんからファサード・ランドスケープデザインについて、rhizomatiksの齋藤さん、有國さんから貫通通路のインスタレーション演出について解説。 建築分野でコンピュテーショナルデザインを率先するそれぞれのお話に、ゲストの皆さんも熱心に耳を傾けていました。

 

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後半は、13階にあるコレクティブハウスの設計を担当された成瀬猪熊設計事務所の成瀬さん、猪熊さんのお二人、そのコレクティブハウスのコミュニティを起ち上げたprsmの藤代さん、 シェアオフィスの設計を担当されたPOINTの長岡勉さんから、シェア空間の潮流や可能性について伺いながら、渋谷キャストではどのようにアウトプットがなされているのか解説されました。

 

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トークセッションに移ると、街におけるコンピュテーショナルデザインの可能性や、これからの個々人の都市への関わり方について議論が交わされました。
時間や気候、人の賑わいなど、街のリアルタイムデータを抽出し、インタラクティブに建築を変化させるといったコンピュテーショナルデザインは、まだ未来のことのように感じられますが、 実現可能性は日々高まっています。むしろ、建物が何十年後も残ることを考えると、こういった手法を今から取り入れていかなくては遅すぎるくらいなのだそう。 また、抽出できるデータの幅が広がると、人々の街への関わり方も多様になります。
街に関わる人が増えている一方で、どの街も同じようになりかねない今、ぜひ渋谷に新しい試みにどんどん挑戦してほしいとの声があがり、 渋谷駅周辺地区の開発をすすめる東京急行電鉄の水口さんは「大きな宿題が出来てしまいましたね(笑)」と笑いつつ、意欲を見せてくれました。

 

その後も時間を延長してしまうほどトークは白熱。まだまだ開業したばかりの渋谷キャストですが、さまざまなアイデアが行き交いました。アイデアの詰まった渋谷キャストがこれからどのように成長していくのか、期待が膨らむ2時間となりました。

 

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