ジャーナル
<EVENT REPORT>
「“言い値”ではじまり、“いいね!”で決まる、会話の生まれるフリーマーケット」
心が通い合う、笑顔あふれる渋谷キャストらしい早春の日のマーケット開催!
2月23日に渋谷キャストで開催された「いいね!マーケット」。2月の終わりでしたが、あたたかさも感じられる陽気で、来場者数は400人近く。株式会社シアターワークショップによって企画されたこのマーケットは「“言い値”ではじまり、“いいね!”で決まる、会話の生まれるフリーマーケット」として、たくさんの笑顔にあふれた一日となりました。今回はその模様をお届けします。
PHOTOGRAPHS BY
Yuka IKENOYA(YUKAI)
TEXT BY
Kana YOKOTA
来場者は400人超!春を感じるあたたかな早春の一日のマーケットの様子
2023年2月23日の祝日に、渋谷キャスト ガーデンにて「いいね!マーケット」が開催されました。このイベントは、「“言い値”ではじまり、“いいね!”で決まる、会話の生まれるフリーマーケット」として、株式会社シアターワークショップによって企画されました。シアターワークショップさんは、渋谷キャストを中心に、地域のさまざまな人・団体をつなぐ“つなぎたい隊”として活動されています。フリーマーケット出店者はシアターワークショップさんをはじめ、co-lab渋谷キャスト、東急株式会社、LIVEを開催してくださったオノマトペル with friendsさん、そして今回のポスター制作なども担当した私たちBAUMです。イベントは11時から開催されましたが、午前中には地元の方や通りがかりに遊びに来てくれたお客様で少しずつ賑わい始めました。
このマーケットの特徴は、なんといっても値段をお客様がつけるということ。そして何よりも素敵だったのが一つ一つの出品物にコメントがつけられていることです。
「ファッションの好みは変わるものです」
「こんなベースでもよかったらあなたの音楽を始めるきっかけになったら嬉しいです」
「夏が来たら使おうと思ってた。。。」
などなど、コメント一つ一つ見ているだけでクスッと笑ってしまったり、その人がどんなふうに使っていたかを想像できたり。たんなるガラクタに見えるものがメッセージを添えるだけで宝物になったり、価値のあるものになるのだから、改めて言葉の力って偉大だなあと感じました。(ヴィレッジバンガードみたいな楽しさもあります!)
マーケットではコミュニケーションがたくさん生まれていたのですが、その理由はやはり、お客さんが値段をつけることだったかもしれません。「言い値」は100円以上からというルールはあるものの、「さすがに100円は悪いかな?高そうだけれど、いくらくらいで交渉すればいいのだろう」「全然100円でいいですよ!」「今800円しか財布に入ってないからそれでいい?」なんて声も聞こえてきました。モノによってはお客さんが欲しいけど金額をつけるのに頭を悩ませてしまうレアな代物もあり、そんな交渉も含めてマーケットはずっと笑顔があふれていたのが印象的でした。
交渉が成立すると、お店のスタッフは「いいね!」と一言。チェキでお客さんの笑顔と購入したものを撮影。そこにいくらで購入したか金額を記入し、会場のパネルにクリッピングしていきます。ほかにもこんな「いいね!」があふれていたんだと思えてあたたかい気持ちになるコーナーです。
小さな子どもたちも自分で選んで、自分で値段をつけて素敵なアイテムをGETできたことに大満足の様子。ここでいくつか出店者の声もご紹介します。
「いろんな方がいろんな価値観でいろんなモノを買うという、なんとも素敵なマーケットでした。本当に個性的なものが集まっているので、それぞれいったい何に使うの? と聞かれたり、折りたたみ自転車を買おうとしてくれた方がいたのにたたんでいる最中に壊れてしまうというトラブルも(笑)。でもまたやりたいです!」(シアターワークショップさん)。
「渋谷キャストらしいあたたかいマーケットでした。目玉商品のリュックは一番最初に売れました。飛び入り参加でステージで歌う人もいたり、お客さんとたくさん交流できたり、ファミリー感があって楽しかったです」(co-lab渋谷キャストさん)
「子どもがドラえもんのおもちゃを買ってくれて、すごく喜んでくれて嬉しかったです。いろんな方とお話しして、『いいね!』ってワードを使うこともそうなのですが、たくさんお話ができて、人と繋がれるのってやっぱりいいなって思えるマーケットでした」(BAUM)
「おじいちゃんおばあちゃんが来てくれて、可愛いおもちゃを買ってくれて。誰かにあげるのかな?とか、意外な発見や想像が生まれるのも面白かったです」(BAUM)
「近所の方も来てくれて嬉しかったですし、値段を自分でつけるというところで普通のフリーマーケットにはない、心が通い合ったというか、なんでこれが欲しいのかみたいなコミュニケーションがたくさん生まれたと思います。イチオシの商品で椅子が二脚あったのですが、2000円で買ってくださったお客様が後でもう一回戻ってきて『やっぱり安すぎたからもっと払います』なんて言ってくださったんです。本当にその椅子を気に入ってくださったからこそのエピソードだなあと感じました」(東急)
会場では渋谷キャストおなじみのアーティスト、横沢ローラさん率いる「オノマトペル with friends」さんが12時、13時半、15時と3回も公演してくださいました。さまざまな楽器があふれるステージでは、子どもたちがマーケットで購入したカスタネットやアコーディオンなどもフルに活用して参加。みんなで音楽を奏でる光景がとっても素敵な時間となりました。特別ゲストの「東横ハチ公」も大人気で最後にはみんなで記念撮影!
「いいね!マーケット」の総売り上げは44,900円。このマーケットで得られた収益は、「子ども食堂」や「居場所・学習支援」を行っている“こどもテーブル事業”(渋谷福祉協議会)に寄付されるとのこと。
大切に使っていたものだけど、もういらなくなってしまった時、現代の私たちはインターネットを介して顔の見えない人と売り買いすることがすごく増えました。もちろんそういったサービスがあることや、そこで生まれるコミュニケーションも素敵ではありますが、こうしてリアルに初めましての人と人同士が出会い、会話を交わし、モノを通したコミュニケーションに触れると「人間っていいな〜」と改めて感じます。
「いいねいいね〜」とオノマトペルさんも歌っていましたが、「いいね!」があふれる「いいね!マーケット」、ぜひ今後も定期的に開催してほしいイベントでした。来て下さったみなさま、本当にありがとうございます!