SHIBUYA CAST./渋谷キャスト

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THINKING
2021/12/27
【往古今来 フゾロイなクリエイティブ論】

空間を楽しむ「間」のデザイン論。
「ゆるさ」の美意識と「遊び」が生み出す楽しみと継続性

Vol.3 長岡勉氏(POINT)
空間を楽しむ「間」のデザイン論。 「ゆるさ」の美意識と「遊び」が生み出す楽しみと継続性

開業から4年が経った、渋谷キャスト。開業前後から大規模な再開発プロジェクトがいくつも進んできた渋谷の街にあって、渋谷キャストはユニークな個性の輝きを放っています。

 

その理由の一つは、多くのクリエイターが企画段階から関わり、それぞれの能力を発揮しながら参加したこと。連載企画「往来古今 フゾロイなクリエイティブ論」では、 渋谷キャストの設計やデザインに関わったクリエイター陣に、開業前後から現在、未来を語っていただき、それぞれの視点から渋谷キャストや渋谷の街の可能性を探ります。

 

第3回目となる今回は、co-lab渋谷キャストのデザインに関わり、周年祭の企画にも継続的に参加してきた建築家の長岡勉さん(POINT主宰)と、渋谷キャスト全体のディレクションやクリエイターのキャスティングを担当した田中陽明さん(春蒔プロジェクト株式会社)にお話を聞きました。

 

 

【プロフィール】
長岡勉 / 建築家・デザイナー / POINT代表取締役
1970年東京生まれ。慶應大学SFC政策メディア研究科修了。山下設計で活動後、POINTを設立。
建築・インテリアの設計業務のほかに、クリエイターのためのシェアオフィス〈co-lab〉の設立に参加するなどの活動を行う。2020年4月からVUILD株式会社のメンバーとしても活動。現在、慶應義塾大学・武蔵野美術大学非常勤講師。


田中陽明 / 春蒔プロジェクト株式会社代表取締役、co-lab企画運営代表、クリエイティブ・ディレクター
2003年にクリエイター専用のシェアード・コラボレーション・スタジオ「co-lab」を始動し、2005年春蒔プロジェクト株式会社を設立。
国内外を問わず、クリエイター向けシェアオフィスにおける草分け的な存在。渋谷キャストには構想段階から参画し、施設全体のデザインディレクションを手がけるなど設立の中心的役割を担い、開業後の施設運営にも深く関わっている。

 

PHOTOGRAPHS BY TADA(YUKAI)
TEXT BY Jun KATO

ものづくりの視点で発想したシェアオフィスの軌跡


ーー長岡さんは、co-labの設立メンバーでもありますよね。田中さんとはどのような経緯で出会ったのでしょうか?

 

長岡:もともと田中さんとはSFC(慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス)の研究室で会いました。年齢は同じくらいなのですが、自分が学部の建築学卒で、田中さんはゼネコンの設計部に勤めてから大学院生として入ってきて。なぜSFCに来たのかと質問攻めしたので、うるさいなと思われていたはずです(笑)。

 

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長岡:その後、森ビル文化事業部主催の社会人講座「アカデミーヒルズ」に「アーク都市塾 AAD (Art、Architecture、Design) スクール」というものがあり、自分は助手として参加してました。そこでは単に授業だけでなく、若いクリエイターが交流できる拠点をつくろうという構想があって、自分は田中さんがシェアオフィスを始めようとしていたことを知っていたので、田中さんに声をかけて森ビルに企画を持ち込んだんです。それが、co-lab六本木の始まりでした。

 

田中:そうでしたね。正確には渋谷でシェアオフィスを始めていたんだけどすぐに頓挫してしまい、話せばもっと長くなるけど(笑)。

 

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長岡:co-lab六本木はクリエイターが集まるので、工房を設けました。というのも、田中さんが集まったクリエイターをディレクションしたり、クリエイター同士で仕事をしたりするイメージがあって。工房をつくるぶん入居者各自のスペースは小さくなるけれど、場所をシェアする。そして、シェアする場が常にオープンで見えている状況をつくろうと考えました。

 

その頃はキャラクターが濃い人、例えばアーティストで東京2020 オリンピック・パラリンピックエンブレムなども手がけた野老朝雄さん、住宅や公共空間の設計や、家具や展示空間なども幅広く手がける建築家の中村竜治さん、チームラボの建築部門を担当している河田将吾さんなど、ジャンルの異なるいろんな人がco-lab六本木に入ってきて、面白かったです。

 

田中:公募型でコラボレーションして何かを起こすことを目的とするシェアオフィス=コワーキングスペースは、当時としては新しかった。コワーキングスペースは一般的に、2005年にサンフランシスコ発祥とされているけど、2003年から僕たちはやっていたんです。

 

長岡:co-labが入居した六本木一丁目の「25森ビル」1階スペースは、目の前が高速道路で道沿いに全長40m・奥行き7.5mのテラスが外にあったので、ガンガン音を出せる作業場として使ったこともありました。

 

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caption:co-lab六本木のテラス

 

 


田中:超都心でけっこうやりたい放題でしたね(笑)。

 

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長岡:六本木は期間限定で、シェアオフィスとしての事業の枠組みもその後変わることになりました。今度は千代田区の三番町でco-labを立ち上げることになったのですが、田中さんはクリエイターを集めたシェアオフィスを続けることが前提だったので、自分もイベントの司会などの運営は手伝いながらもco-labメンバーとして参加することになったんです。

 

田中:三番町のスペースは、IDEEとクリエイターによる都市再生プロジェクト 「R-project」のために用意してもらって。六本木の延長の感覚で、三番町でも工房を半地下に設けましたね。長岡さんはものづくりの目線でつくるので、作業のためのスペースが必要以上に広くて(笑)。模型をつくるのにも便利そうでしたし、ものづくり系の人には評判がよかったですね。

 

長岡:自分はムードメーカーであることをいいことに、いろんなところで作業して、みんなに迷惑をかけていたなと思います(笑)。複数にまたがるフロアごとに、キャラクターを付けようと考えたり、なるべく共用部はたっぷりとって、個々のブースで区切られていても、立つと目線が通ることも検討したり。

 

渋谷の宇田川町のco-labにも、工房がありました。共用の棟と、アトリエ棟の2つがあり、アトリエ棟では1フロアを自由に使わせてもらいました。

 

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caption:co-lab渋谷アトリエ

 


田中:宇田川町のco-labは渋谷キャストに移動する想定で用意された場でした。渋谷キャストは、コンペ形式で参加することになり、長岡さんとco-labの案を考えて。最初は2階のワンフロア全部という話だったのですが、途中から2フロアに分ける条件となって少し小さくなり、プランを全て練り直しましたね。

 

 

 

コラボレーションを誘発する空間づくり


長岡:渋谷キャストではものづくり系の場所はないけど、みんなが大きなひとかたまりで集まれるような場をつくりたいということで、2階はセンターテーブルを設けてそこを囲む形でまとめました。

 

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田中:センターテーブルの手前にブースがあって、奥にスタジオと呼んでいる少し背の高いスペースがあって、すり鉢状となっています。真ん中では「プレゼン会」という、メンバーが好きなことを紹介するイベントを定期的に開催しているのですが、参加できないけどオフィスにいる人にも声が届くようなつくりにしていて、空間でも、コラボレーションが重視されているのが特徴ですね。そして円形になっているけど、オフィスとしての有効面積は意外と確保できています。

 

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長岡:円形の配置であっても共用スペースをある程度設けつつ、意外と効率よく必要なブースを確保できることが分かったんですよね。1階のエントランスでも、入るとキオスクのような受付が真ん中にあり、周りはある程度閉じられた部屋で囲う形にしています。

 

田中:キオスクの受付の造作を考慮したデザインも、長岡さんでないとできないものですよね。

 

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長岡:これは軽鉄(軽量鉄骨の略)で下地を組んでから、表面を塗っている。わりと面倒なことをTANK(世田谷区に拠点を置く設計・施工の会社)さんに施工してもらいました(笑)。空間を仕切る壁の仕様などは工事で決まっているので、基本的に内装の造作工事で細かい調整をしました。造作の仕上げは素材そのままをわりと見せていますが、すべてがそうではなく、塗装をしたり染色したりと、バランスをとっています。

 

田中さんはアクセント的に何かを入れて空間を楽しくするのは好みだし、そのあたりは議論して決めていきましたね。

 

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田中:2階はMDF(Medium Density Fiberboardの略。日本語では中質繊維版)に染色していますよね。奥行き感が出て、狭くても広く感じる効果がある。今、補修をしようとしていたのですが、染色の部分をペンキで塗ると表情が変わってしまうので、基準をつくりながら原型の良さを残そうとしています。

 

 

 

空間を楽しむ「アイテム」をねじ込みたいから、ガチガチにデザインしない


田中:そして、2階へ上がる階段の部分に描かれたスイミーの絵は、長岡画伯によるものですね。

 

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長岡:渋谷キャストは「不揃いの調和」という建築におけるテーマをディレクションチームがつくっていました。個人が集まって大きな全体像を出すというイメージから、スイミーの絵がほしいという要望が出てきたので、自分で絵を描くことにして。ガラス扉にもco-labの文字を描きました。

 

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田中:長岡さんのグラフィックを受けて、隣接するカフェとの間のガラス壁にも、後から他のデザイナーさんによって絵柄が描かれたんですよ。

 

長岡:そうなんだ。(絵柄を眺めて)これを描いた人は、空間の背景となるようにトーンを落として描いていますよね。自分は空間にキャラクターをもう少し出そうとするから、グラフィックデザイナーとは少し違うなと思います。

 

田中:別のキャラクターのグラフィックを許容する空間デザインって、大事なポイントだと思います。

 

長岡:改めてスイミーの絵を見ると、我ながら可愛らしいお魚グラフィックですが、これは空間には微妙に関係なくて唐突じゃないですか。でも、アーティストほどの強さはない。自分のキャラクターに合っているのかもしれないけど、ここで描かれているスイミーには、オレ的「ゆるさ」がある。「ゆるい」という言葉でしか表現できていないのは問題なんですが(笑)。

 

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田中:長岡さんのつくる「ゆるさ」が、他のものを許容するということですね。

 

長岡:建築家やデザイナーとしてはすごくカッチリとした空間をつくる方向もあるし、空間を変えないことで美意識が宿ることもあるけど、そうすると中にいる人が「借り物」のようになる感覚があります。一方でオーナーが自分でつくったり、マネジメントしながら愛情を注いでメンテナンスしたりしている空間は、愛情が染みて独自の世界観が出る。co-labもそうですが、実際の空間は運営する人がいて、使う人がいて、両方の場所だったりするわけで、自分はその「間」に興味があるし、ガチガチではないデザインを目指したい。

 

例えば住宅をつくるときも、自分がずっと住むわけではないですよね。住む人に心地よい容れ物をつくって「後は自由に色づけてください」と渡す場合もあるけど、自分は暮らしを楽しむアイテムなどをねじ込んでおきたいなって。

 

田中:大体強引にねじ込んであるよね(笑)。

 

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長岡:ちょっとおせっかいだけど、「こういうのをきっかけに空間を楽しんでね」と言いたいんですよ。完結した世界観ではなくて、設計者自らが空間に一つ異物をポンと入れておく。それがきっかけとなって施主がまた何かを入れるとき、空間がもしガチガチにつくられていたらハレーションを起こすのだけど、そうならずに韻を踏む関係が生まれると良いと思っている。

 

田中:なるほどね。これまでのco-labでもそうしてきたというわけか。

 

長岡:自分は、クライアントや運営者の声を聞くのは好きなほうですが、それでいろんなことをうまく解決するという人ではなく、韻を踏む関係性を生むようなものを用意したい。そこだけで見るとキャラが濃いように見えるけど、ささやかな石を投げ込むようなもので。それはどんなプロジェクトでも共通して考えていますね。

 

田中:長岡さんには、彼がco-labを出てからも設計をお願いしています。「co-factory 渋谷」という渋谷の変電所跡地の施設の内装もそうですし、開発している虎ノ門の新しいプロジェクトでは、官民連携のワークプレイスをつくるというので小堀哲夫さんに設計してもらっていますが、すぐ近くに用意する官民連携のプレスペースは、長岡さんが内装担当。 そこに立ち寄って思考する際に使えるツールのようなものを、デジタルファブリケーション(デジタルデータをもとにものをつくる技術)でつくってもらうというもので、長岡さんが所属しているVUILD株式会社の活動とうまく連携できそうです。

 

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caption:虎ノ門の官民連携ワークプレイス

 


長岡:建築の硬さよりは、もうちょっと楽しさとかカジュアルさに興味があって、特に田中さんとは付き合いが長いので、「これはフィットしそう」というときに声をかけてくれるのかな。

 

昔からずっと、自分は「家具以上建築未満」とか、不動産よりは「可動産」なものに興味があります。空間の使い方がフレキシブルにできるし、運営に自分がコミットできなくても、場所を継続する装置としてヒューマンスケールの延長でつくりたいという想いもあります。

 

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長岡:最近では、空間とグラフィックの中間に興味があって。建築で色を塗るというと「アクセントカラーでこの壁を塗りましょう」と一色に塗ってしまうじゃないですか。一方で、グラフィックな世界はすごく細かいクオリティでつくられているので、絵やポスターを一つ置いただけで、空間とは切り離されたインパクトのあるものが立ち現れる。そんな両者の間で、空間的にも楽しくなる色とかアイテムに興味があります。

 

田中:長岡さんはインテリアデザイナーが描く線ともまた違って、グラフィックデザインを立体的に捉えたような空間を描きますよね。それで、面だけど色でオブジェクトが浮き立ってくるような表現を求めている。どんどん進化しているし、特異な領域に一人で走っているのはすごいなと思います。

 

 

 

街をひらくには「遊び」が必要


ーー長岡さんは、渋谷キャスト周年祭でも、「1階づくりはまちづくり」を掲げる株式会社グランドレベルが手がける広場の企画にも継続的に関わっていらっしゃいますよね。

 

田中:広場でのイベントをどうしようかというときに、グランドレベルの活動を知っていたので、彼らにディレクションを頼んだことが最初だったと思います。

 

長岡:初年度は、彼らだけでやったのですよね。「マイパブリッカー」が広場を使ってもてなすようなイベントで。2周年祭のときに「PLAY」、遊ぶというテーマを掲げたときに、グランドレベルから声がかかりました。「階段を滑り台にしたい」という大きなアイデアがあって、それを形にするなら長岡しかいないとなったようです(笑)。

 

田中:そうでした。

 

長岡:3周年祭がコロナで中止になり、4周年祭で「PLAY DISTANCE」として2m=ソーシャルディスタンスの距離を遊びに変えるイベントを開催しましたね。その間、2019年の冬季イベント「WINTER CAST.」では、企画を担当していた株式会社バウムと一緒に、「世界最長のこたつ」とうたった、全長20m近いハイカウンター型こたつをStudio Onder de Lindeさん(テキスタイルデザインを手がけるデザインユニット)とつくったこともありました。

 

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田中:僕は施設の運営やプロデュースしている中で、「生きた建築」をつくりたいと常に思っています。新築施設のコンセプトは、オープンしたときにポスターなどで張り出されて終わってしまうことが多いんですが、コンセプトに継続性を持たせるには、イベント化して形を変えながら出し続けていかないといけないし、それは運営側の役割です。

 

そのスタンスで考えたときに、グランドレベルの取り組みは価値がある。自然に自主参加できる仕掛けを企画できる人はなかなかいないし、仮設物をデザイン性高くつくることができる人も少ないですから。広場での企画は、エンタメでありアカデミックな側面もあるモデルケースとして、多くの人に見てもらいたいと思います。

 

長岡:生きた建築は、人がきちんとコミットすることや、継続することが関係していて、田中さんはco-labを1つのきっかけとして、いろんなところで展開しているのだと思います。

 

イベントで「街をひらく」というのはよく聞きますが、その中で重要なキーワードは「遊び」だと思っています。「遊び」には、余白や余地があって寛容である、という意味が1つ。もう1つ重要なのは、関わっている人たち自身がそこで楽しむ遊び心が入っているか。
先ほど自分が「石を投げ込む」と言ったのは、そこにみんなが遊べるふるまいをつくりたいということです。そして、投げ込んだところになお余白があるのが大事だと思っていて、僕のデザイナーとしての意識はそこにあります。

 

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長岡:最近思ったんですよ。年をとってくると若い人を育てるとか、活動を広げていこうとなることも多いけれど、自分はピン芸人路線だなと。

 

田中:ピン芸人!(笑)。最近特に振り切っている感があるし、それが合ってると思うな。

 

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長岡:VUILDでも、この歳だとディレクションみたいな立場になるんです。でも僕がVUILDに入社した理由は、自分も手を動かして面白いものをつくりたいから。若い人たちってそういうところがあるけれど、自分もそこにいたいんです。

 

この間開催した展示会も、つくったフレームは全部自分で発注して、加工データをつくって、切り出して、自分で研磨しました。ひとりでやるのは大変なんですが、そのプロセスで「絵と立体フレームを組み合わせると、こういう面白いことができるんだ」みたいな気付きがある。つくりたいものは自分で手を動かしてやれるような環境に身を置けるのは、改めて良かったと思います。

 

ーー渋谷キャストには長く関わり続けている長岡さんですが、施設に対して今後どんなことを期待しますか。

 

長岡:渋谷キャストは複合的な施設で、上階のレジデンスを含めてさまざまな人がいます。周年祭と絡めて渋谷キャスト全体のオープンデーがあるといいですよね。イベントに来た人と交流したり、イベントの中でも混ざり合ったりするような機会があると、みんなが持ち帰ったときに自分たちのフィールドでの活動の刺激になるはずです。周年祭を開催するのは大変だと思いますが、余力があればオープンデーは年に2回開催すると、もっと繋がりができるんじゃないかな。

 

田中:それはいいですね。ぜひ長岡さんにディレクションで入ってもらいたい。

 

長岡:通常のイベントでは、互いにコミュニケーションをとって、共通の目的に対して関係者全員の同意を得るための地ならしが大変ですが、渋谷キャストでは、関わっている人の意識がすでに醸成されていることが財産なんです。 オープンデーのようなイベントをどんどん投げ込んで、そこが気づきとなって発展するような流れをつくったらいいと思います。

 

僕は「遊び」というカジュアルさが空間を楽しむことにつながればいい、というはっきりした意識があるので、これまで一緒にやってきた関係性で、今後もやっていけたらいいなと思います。

 

田中:長岡さんにはco-labの立ち上げから入ってもらっていて、co-lab渋谷キャストには、運営者としての立場が用意できなくてco-labを出ることになってしまったけど、準メンバーという枠をつくったのでこれからも「ゆるく」関わってもらえれば嬉しいです。

 

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