渋谷キャストの広場に、ずらりと点灯ランプが並び、その前で小首を傾げる人やあさっての方向を眺める人たち—--—広場で行われた早押しイントロクイズに臨む人たちは、かねてより親交があったというわけではなく、はじめましての方がほとんど。それも数十分、1時間弱の間に出会った方々なのです。

この日は、6月2日の日曜日。渋谷区で6月第一日曜日といえば、「渋谷おとなりサンデー」の日です。
おとなりサンデーといえば、渋谷に住む人、働く人、遊ぶ人たちが自ら地域交流の場を企画し、親睦を深める取り組み。2017年からはじまり、渋谷区各地で毎年大きな盛り上がりを見せています。

渋谷キャストの広場でも一昨年、昨年と、近隣住民、オフィスワーカー、観光客などがロングテーブルで食事をしながら気軽に交友の輪を広げてきました。
冒頭の早押しイントロクイズは今年のひとコマで、おなじみのロングテーブルを囲みつつ、さまざまな “おとなりさん”が集まり、食事やお酒を楽しみました。

それぞれ自由に楽しむ広場には、一風変わった盛り上がりを見せるグループも。普段広場にはないハイテーブルで談笑する人たちをよく見ると、スタンド式のちゃぶ台を囲んでいます。 彼らは同じく渋谷に拠点を置く複合施設・100BANCHから生まれたプロジェクト、可動式のちゃぶ台で街を訪れ、交流を生み出す「ちゃぶダイブ」のメンバー。ご近所ということで遊びに来てくれました。およそ、見慣れたそれとはかけ離れたキャスター付きのテーブルに道行人も興味津々。メンバーの皆さんの気さくさも相まって、ちゃぶ台を囲んで和やかに団欒が繰り広げられていました。

また、ロングテーブル脇には、渋谷区周辺の地図を設置。訪れた人をチェキで撮影してもらい、どこから来たのかを書いて貼り付けます。
チェキは渋谷エリアをほぼ埋め尽くし、さらに渋谷区外、中には埼玉県や神奈川県など都外からの来訪者も。多様性な人を引きつける渋谷らしさが垣間見えました。たまたま居合わせた人同士で「昔、そのあたりに住んでいましたよ」「職場近いんですね、あのお店知ってます？」など、ちょっとした会話のきっかけにもなっていました。

広場入口では、良い香りに誘われて人が集まっていました。その香りの源泉は、味の素AGFのドリップコーヒー「渋谷ブレンド」。お披露目されたこのコーヒーのブースが設けられ、広場の前を通りがかる人はスタッフの「コーヒーの試飲いかがですか？」というさわやかな呼びかけに足を止め、コーヒーを飲みながらおしゃべりをしていました。
さらに、渋谷キャストのすぐおとなりにある渋谷教育学園の社会科研究会の生徒たちも、コーヒーの売り子として参加。道ゆく人に元気に声をかけていました。

ランチでお腹が満たされ、コーヒーでのんびりと場が和やかになると、早押しイントロクイズ大会がスタート。
MCである東京カルチャーカルチャー・横山伸介さんが、広場にいる人を次々とクイズ回答者に指名していきます。ステージに集められた参加者はチームを組まれ、あれよあれよという間にクイズ開始へ。最初は戸惑い気味だった参加者も、早押しボタンの前に立つと、気合の入った表情になり、それまでの和やかなムードとは一転。長机に人が密に並んでいる光景は、国際会議さながらの緊張や興奮を感じる空間でした。いざ始まると、大人たちがわからない問題を正解する小学生や、音楽に合わせて踊り出す淑女、ハイタッチを交わすチームなど、イントロクイズは広場に一体感を生み出していきます。

突然渋谷の街に流れ始めた、新旧・和洋様々な音楽は多くの人を引き寄せます。
外国人観光客もその変わった光景に興味津々の様子で、日本の旅の思い出にとシャッターを切っていました。

また、ギャラリー側にも回答ボタンが設置され、飛び入り参加も大歓迎。ステージでクイズ参加者が考えている隙に、それまで静かに見ていたお客さんがどこからともなく登場し、さっそうと正解を言い当てるシーンには、特に大きな盛り上がりを生みました。

普段から、クリエイターや地域の人、オフィスワーカーなどさまざまな人が行き交う渋谷キャストですが、渋谷区内外問わずたくさんの人が集まったこの日。
コーヒーやロングテーブルランチ、クイズ大会を通してのびのびと過ごしている様子は、おとなりさんとのつながりを越えて、キャストらしい一体感を感じる日となりました。