SHIBUYA CAST./渋谷キャスト

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2024/10/02

回って、踊って、混ざり合う。『BON CAST.2024』が広げる盆踊りと渋谷の輪

回って、踊って、混ざり合う。『BON CAST.2024』が広げる盆踊りと渋谷の輪

2024年8月9日(金)、渋谷キャストでは夏の恒例となったミラーボールが眩しい盆踊りイベント「BON CAST.2024」が開催されました。


日本の文化である盆踊りをデジタル太鼓や光るやぐらなど、デジタルテクノロジーによって渋谷らしく演出した、渋谷キャストならではの盆踊りイベント。渋谷で暮らす人々や働く人々、そして遠くから盆踊りのために駆けつけてくれた盆踊りファンなど、さまざまな人が集まったイベントの様子や遊びに来てくれたみなさんの声を、盛りだくさんの写真といっしょにお伝えします!

 

 

<開催概要>

8/9(金)15:30〜20:00 「BON CAST.2024/盆キャスト 2024」

 

主催:渋谷キャスト

出演・出店:晴盆、サイバーおかん、DJデッカチャン、夢咲あいり、あかん坊、松本康孝 

今年で6回目! 渋谷の真ん中に、盆踊りの輪

 

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日本の夏の風物詩でもある盆踊り。渋谷キャストがオープンした2017年からスタートした、デジタル太鼓や光るやぐらなど、デジタルテクノロジーを駆使して渋谷らしく演出された盆踊りイベント「BON CAST.」も、渋谷の夏にとって定番の一景となっています。6回目となった今回も、大人から子どもまで、渋谷キャストに集うたくさんの人々を楽しませるコンテンツが盛りだくさんのイベントとなりました。


今年の「BON CAST.」、特筆すべきは昨年好評だった“盆踊らー”晴盆さんによる振り付けのレクチャー! また昨年に引き続き、MCにはお笑い芸人・あかん坊の長原ソーマさんと前田康文さん、さらにはアイドル・夢咲あいりさんが登場。軽快なトークで会場を盛り上げてくれました。そして、今年のやぐらを熱くしたDJ陣には、サイバーおかんとDJデッカチャンがステージに! お馴染みの歌謡曲やJポップに合わせて、会場のみんなで時代とともに進化した盆踊りを踊りました。


この出演陣によって、渋谷に暮らす人、遊ぶ人、働く人たちがごちゃまぜになって、ひとつの輪に……!? いったいどんなイベントになったのでしょうか? 盛りだくさんのコンテンツをひとつずつ見ていくことにしましょう。

 

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大きな街で小さなお祭り、大人も楽しい懐かしの縁日


当日は15時30分から縁日がスタート。ヨーヨーすくいや型抜きといった露店を覗くと、子どもたちが真剣なまなざしでチャレンジしていました。

 

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今年は、縁日の出し物に型抜きが追加! ピンク色の板状の菓子に描かれた絵柄の型を爪楊枝を使ってくり抜いて遊ぶのですが、これが意外と難しい……

 

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一方、不動の人気を誇るヨーヨーすくい。帰宅途中の子どもたちが行列をなしているシーンも

 

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おいしい楽しいキッチンカーで、「パンとお好み焼きの間」という不思議なもちもち食感のバーガー「おこぱん」を購入


続いては親子連れの方々で賑わうお面づくりコーナーへ。ペーパーアーティストの松本康孝さんが考案したお面は、どれもユニークで目を引きます。

 

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ハートやネコなど好きなモチーフをセレクトし、半分に折って型に合わせてカット。頭のゴムをつけて、鏡を見ながら自分に合うところに鼻のパーツを付けて、シールでデコれば完成!

 

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大人も子どもも、みんな夢中になってお面をつくります

 

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「BON CAST.はギラギラしたお祭り。お面もラメがたくさん入った紙を使って、賑やかにしました。つくったお面を被ってギラギラで盆踊りを楽しんでください!」と、講師の松本さん

 

盆踊りが始まるまで、すこしひと休みしようと室内にあるイベントスペース、「渋谷キャスト スペース」へイベントホールの「SPACE」へ。ここでは、ボードゲームをこよなく愛する「サルベジ」のメンバーが一日マスターとなり、ボードゲームが体験できるカフェ・バーを開いていました。


カウンターには「カルピスソーダ」や「ぽん酢サワー」、「シーバスリーガル・ミズナラのハイボール」に「雪男(日本酒)」など、独特なメニューが並んでいます。ぽん酢サワーをソーダにして注文し、ボードゲームを体験することに。

 

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メニューは、メンバーの個人的な趣味によるラインナップとのこと。なるほど……


体験したのは、「マインド」というカードゲーム。まず、1から100まで描かれたカードが各プレーヤーにランダムで2枚ずつ配られました。進行者が「集中!」と声を出したあとは、いっさいしゃべってはいけないルール。全員の手札がなくなることを目標に、数の少ないカードから好きなタイミングでそれぞれ手札を出していきます。心の中で数字を数え、そろそろかなと思ったらカードを出す。

 

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探り合わない。目配せや合図もなし


「6」「7」……「11」「19」「26」……


と、ここでプレイヤーのひとりが手を上げました。


「ごめんなさい、過ぎてしまいました」


と、みなに「16」の札を見せて、あっけなくゲームセット。そんなに簡単には行かないから、ゲームはおもしろいんです! とサルベジのメンバーが笑いながら教えてくれました。

 

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マスターと仲間たち、飛び入り参加の方も含めて、5名で楽しみました

 

レッツ・盆ダンス! はじめての人も楽しめるワークショップも

 

時刻は17時をまわり、やぐらにはすでにたくさんの人が。MCを務めるあかん坊のおふたりと夢咲あいりさんがやぐらに立つと、ついに待ちに待った盆踊りがスタート! よく見ると3人はMCのなかでしきりに「レッツ・盆ダンス!」とか「カモン、カモン!」と声をかけています。視線の先には、輪の外から盆踊りをものめずらしそうに見物している外国人の方々が。

 

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“盆踊らー”晴盆さんの盆踊りワークショップでは、ゆっくりと盆踊りの振り付けをレクチャーしてもらえます。輪の中にいるピンクのたすきをかけた人たちがお手本の動きをしてくれるので、振りを覚えられなくてもだいじょうぶ。熱心な声がけのおかげか練習を何度かくり返すなかで、海外からのお客さんが盆踊りを体験しているシーンも見られました。

 

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“盆踊らー”とは盆踊りをこよなく愛し、あちこちの盆踊り会場を巡っている人のことを指すそう。


――PLAING BON-DANCE MUSIC「炭坑節」

 

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すてきな盆ダンスを披露しているのは、インド出身のファルンさん。偶然通りかかったところ、輪の中で踊る人から誘われチャレンジしてみたんだそう。レクチャーにも参加して、盆踊りの本番が始まってからも踊りつづけていました。


「日本に越してきて半年くらい。盆踊りのことは知っていたけれど、踊ったのは初めて。やさしく教えてくれる人がいるから輪にも入りやすかったです。なぜだか故郷を思い出しちゃいました」

 

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――PLAING BON-DANCE MUSIC「東京音頭」

 

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こなれた着物姿のこちらは、本格的な“盆踊らー”の牧野勇太郎さん。日本舞踊をされているとのことで、所作が美しい。ネットで盆踊り情報を調べ、あちこちの会場をならしているとのこと。「まだまだ勉強中」としながらも盆踊りの魅力を、こう語ります。


「多くの人が一斉に同じ動きをすることに、会場がひとつになるような一体感を感じるんです。純・日本版のディスコみたいな感じ。暑さを忘れて踊っています」

 

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さらに、軽快なステップが特徴の「郡上おどり」を踊りこなす様子が印象的だった方にもお話を聞きました。


「BON CAST.は、今年が初参加です。全国各地にご当地の曲があって、それを踊れるようになるのが楽しい。今回は、渋谷のご当地盆踊りが踊れると聞いたので、それを楽しみに来ました」

 

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4日間夜を徹して踊り続ける日本三大盆踊り「郡上おどり」(諸説あります)をマスターした木村さん。もともと盆踊り好きのご家族が踊っているのを眺めているだけだったのが、今では自分から都内のお祭りを探して飛んでいくほどの盆踊りフリークに。この穏やかな笑顔と裏腹の探究心、ただものではない……。

 

夜を彩るネオンとポップス。温故知新の盆踊り!


――DJ サイバーおかんPLAING BON-DANCE MUSIC「どうにもとまらない」by 山本リンダ

 

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時刻は18時30分をまわり、日もすっかり暮れてきました。後半の部からは、歌謡曲やJポップがリミックスされた、新しいカタチの盆踊りミュージックがイベントを彩ります。やぐらの上にはDJのサイバーおかんが登場。背中のネオンサインが、キラキラした光であふれる会場の中でもひときわ強く輝いています。やぐらを取り囲む人々は老若男女、そしてあらゆる国籍の人たち。そこに「電脳」を背負うDJが対峙するシーンは、まさに盆踊りの温故知新とも言えるのではないでしょうか。


輪の中に、なんと20年も盆踊りを続けているというご御夫婦がいました。


「新しい振りは知らないけれど、伝統的な盆踊りの型ならわかりますから。どんな音楽にも合わせられます。それに盆踊りは、決まった大きさのなかで同じ動きをするでしょう。たくさんの人が身体にタッチすることなく一体感を持って踊れるという、世界でも類を見ない優れた踊りだと思います」

 

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――DJ デッカチャンPLAING BON-DANCE MUSIC「Bling-Bang-Bang-Born」by Creepy Nuts

 

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流行の曲を流しながら、踊る人たちが楽しめるようにテンポを変えたり、ビートを足したり。思わず笑みがこぼれてしまうDJデッカチャンの選曲に合わせて、ひときわ楽しそうに踊っている2人組がいました。近くの会社で働いていて、去年からいっしょに参加をしているとのこと。

 

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「盆踊りが好きで、会社のメンバーに声をかけて去年参加したんです。最初はぜんぜん乗り気じゃなかった先輩が、最終的にはガッツリ踊っていて。去年の時点で、『来年も来よう!』って決めちゃうほど楽しかったんです。今日をずっと楽しみにしてきました」


「ここに来て、炭坑節を覚えました! 仕事はタイムキーパーをお願いして、定時ぴったりに上がって。今週はこのために仕事をがんばってきたんです」

 

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やぐらの真横には、誰でも叩けるデジタル太鼓が。会場の音楽に合わせて、常に誰かが自由気ままに太鼓を鳴らしていました

 

 

この街では誰もが主役。混ざり合って広がる新しい「渋谷」のかたち

 

――PLAING BON-DANCE MUSIC「渋谷スクランブル音頭」


休憩中、イベントを担当した東急の白井亜弥さんにも話を聞くことができました。


「私も気持ちがもりあがってしまい途中からいっしょになって踊っていたのですが、通りかかった方の中にもふらっと輪の中に入ってくださる方がたくさんいて、うれしかったですね。レクチャーを含め、はじめての方でも簡単に踊れるしくみや選曲をしてよかったです」

 

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「『渋谷スクランブル音頭』の歌詞にも込められているんですが、渋谷は新しい文化が入り混じった街。そのなかでも古きよき日本の文化もたいせつにしながら、SHIBUYA CAST.ならではの「新しさ」に向かって進んでいきたいです」


渋谷で生まれ、渋谷と育む、街の新たな盆踊り「渋谷スクランブル音頭」。日本の伝統文化である盆踊りを、“いまの渋谷”らしく解釈した歌詞が印象的です。


「渋谷でスクランブル〜まぜまぜ〜♪」


腕をぐるぐるとまわす振りを、やぐらの周りの人たちが一斉に行います。


「ここではあなたが主役〜」

 

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子どもも大人も、外国から来た人も、ここで暮らす人も……あらゆる人が主役になって、思い思いにお祭りを楽しむ。それぞれのバックグラウンドを脱ぎ捨てて、この時期この瞬間しか体験できない盆踊りの渦に身を投じる。ぐるぐるぐる……とまざりあって、いつしかひとつの輪ができている。


イベント終了時間まで盆踊りを踊ってみた筆者も、この熱と一体感を肌で感じることができました。驚いたのは、前半・後半通して踊り続けるみなさんの体力とグルーヴ……!そして振り付けがわからなくっても、前で踊っている人を見ればすぐに仲間になれるこのイベントが持つ安心感。街の中に突然居場所ができるというか。盆踊りの輪の中には不思議な引力がありました。それは、夏のお盆という特別な時期だからこそ、生まれるのかもしれません。

 

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CREDIT

執筆:山本梓

撮影:須藤翔(Camp Inc.)

編集:須藤翔、横田大、裏谷文野(Camp Inc.)