2020.6.23

【渋谷・広場談義】
都市の広場のあり方を変える。リスクを極限まで恐れない渋谷キャストの「実験的精神」

都会の喧騒から少し離れて、外の空気に触れながら自分の時間を過ごせる。そんな稀有な居場所が、「渋谷のど真ん中」にあることは、意外と知られていないかもしれません。

2017年4月の開業以来、渋谷キャストの顔となっている「広場」では、お昼時に近隣で働く人たちがお弁当を食べていたり、夕方近くになると小学生が働く大人たちを横目に宿題をしたり、走り回っていたり。渋谷キャストのスローガンである「WORK, LIVE, PLAY」が体現され、日常に寄り添う渋谷の風景を垣間見ることができます。

一方で、「渋谷にある広場」として、訪れる人々の創造性を誘発し、街に新たな価値を還元するような実験的な試みも行われてきました。 それを象徴するのが、プロデューサーの熊井晃史さんが全体ディレクション、建築コミュニケーターの田中元子さんが代表を務める株式会社グランドレベルが広場の企画を担当し、2019年4月に開催された渋谷キャスト2周年祭「READABLE!!」です。
*2周年祭のイベントレポートはこちら

建物の大階段が滑って遊べる斜面に変身し、広場にはユニークな形の家具や小屋、楽器や跳び箱にもなるスツールが点在。田中さんは、創造を促すような仕組みやきっかけを散りばめることを「補助線」と呼んでいますが、ここではまさに、人々が能動的に動きたくなってしまう補助線がデザインされ、大人も子どもも創造力を発揮して自由に遊び、くつろげる空間が実現しました。 さらに、自分のスキルやつくったものを無料で振る舞うことで、自分ごとの楽しみを周囲に還元する「マイパブリッカー」たちも集まり、街に新たな出会いの場が生まれました。

熊井さんと田中さんがこの企画でめざしたのは、広場のポテンシャルを生かして「人々が心を解放して素の自分に戻り、人間らしさを取り戻す」こと。
実験的でありつつも、常にその場の人のことを考え、広場の本質に迫った企画を展開するお二人に、企画の実現をサポートしてきた東急の岩本拓磨さんを交えて、普段はあまり語られない渋谷キャストでの企画の裏側にある考えや哲学から、アフターコロナに求められる広場のあり方まで、広場にまつわるリアルなトークを繰り広げました。

【プロフィール】
田中元子/株式会社グランドレベル代表取締役、喫茶ランドリー店主
1975年茨城県生まれ。独学で建築を学び、2004年大西正紀氏とともにクリエイティブユニットmosakiを共同設立。建築やデザインなどの専門分野と一般の人々とをつなぐことをモットーに、建築コミュニケーター・ライターとして、主にメディアやプロジェクトづくりを行う。
2015年よりパーソナル屋台の活動を開始し、2016年、「1階づくりはまちづくり」をテーマに「人・まち・日常」をアクティブにする株式会社グランドレベルを設立。2018年、市民の能動性を最大限に高める1階づくりとして「喫茶ランドリー」をオープン。
自分が好きなものを無料で振る舞うことで「自分なりの公共」をつくり、コミュニケーションを生み出す「マイパブリック」という概念を提唱し、自らも街なかでコーヒーを無料で配る活動を行ってきた。
渋谷キャストでは、「シブヤパブリックサーカス」(2017年11月、2018年4月)、「渋谷キャスト2周年祭 READABLE!!」(2019年4月)の広場企画に携わる。

熊井 晃史/プロデューサー
NPO法人CANVASのプロデューサーと同時に、慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科研究員、青山学院大学ワークショップデザイナー育成講座講師を兼務。2017年6月に独立し、NPO法人東京学芸大こども未来研究所の教育支援フェローに就任。子ども・街・遊びなどをキーワードに、さまざまなプロジェクトの企画立案・運営を行う。
渋谷キャストでは、「渋谷まちあそび vol.1 −かみと さいだんきと ぬのと」(2018年3月)、「WINTER CAST.2018」(2018年12月)、「渋谷キャスト2周年祭 READABLE!!」(2019年4月)の企画・ディレクションを担当。

岩本 拓磨/東急株式会社 ビル運営事業部 渋谷運営グループ 価値創造担当
2007年サッポロビール㈱入社。2011年よりサッポロ不動産開発㈱に出向し、恵比寿ガーデンプレイス、サッポロファクトリーの運営を経て、2018年より東急㈱に出向。主に渋谷キャストの広場・多目的スペースの企画・運営を担当。

TEXT BY Atsumi NAKAZATO

広場の使い方に正解なし。ワクワクを求めて実験あるのみ


田中:私たちは、与えられることを楽しむのではなく、「自ら楽しむことをつくり出せる環境」をつくることに興味があるんです。キャストの周年祭でそういう環境をつくりたい、と提案したものの、まさか受け入れてもらえるとは思ってなくて。こういう話にピンと来てもらえることってまだまだ少ないので、受け入れてもらえたことにすごく感謝しています。

岩本:こちらこそ。元子さんと熊井さんには、開業から一年も経たない頃にキャストの広場を生かした実験的な試みに関わっていただいて、すごくキャストにスイングするねってことで、関わりが形を変えて継続してきたというところですよね。

熊井:というのと、僕、グランドレベルさんの結構なファンだったんで(笑)。


田中:すみませんねえ。


熊井:そのことがつながりを深くしていったというのは大きくあって。グランドレベルさんの活動は、「人が能動的にポテンシャルを発揮する環境をつくる」という信念が本当に一貫されていて、僕はただただそれをウォッチしてたんですよ。だから、キャストの広場をきっかけに出会いが生まれて、ご一緒できるようになって、すごくうれしいなと思っていて。

岩本:これこそ、熊井さんの持論である「街とは出会い系」ですね。


熊井:まさに(笑)。僕、元子さんに聞きたいこといっぱいあるんですよ。グランドレベルさんの活動には、「都市の中に人々の能動性が発露する機会や場所が少なすぎるんじゃないか」というメッセージがあふれてますよね。それと合わせて、とにかく人々を勇気づけようとする振る舞いが一貫してるんです。

田中:そうですね、はい。


熊井:グランドレベルさんが提唱されてきた、あればいいなと思う公共を個人でつくる「マイパブリック」は、つまり、パブリックとプライベートの間ということですが、広場は、まさにその表れの場であって、かつ人々を勇気づける場でもあるという、そこに深い実があるなと思っていて。


田中:本当におっしゃる通りで、コロナの問題があってなおのこと、私は自分がやってきた、どなたにも場を開こうとすることや、自分で場をつくるという可能性を提示することを推し進めなくては、という気持ちが強くなりました。それが十分進められていなかったから、外出自粛中に居場所に困って大きい公園や商店街に人があふれ返ってしまったと思うんです。広場はもちろん、家の軒先とかちょっとしたところに気持ちのいい場所があれば、あんなに密集しなくて済んだはずなんですよね。
一方で、企業が公開空地として都市に広場をつくる試みは増えていますが、まだまだ閉鎖的な場所が多い。でも、キャストの周年祭では両手を広げて、みんなに「おいで」って言ってあげることができたのが、すごくありがたいなと思っているんです。


熊井:都市に企業がつくる公開空地が増えてきた中で、元子さんは、キャストの広場の独自性やポテンシャルをどう捉えていますか?


田中:これまでキャストでやれたことって、一つは、東急さんはじめ、この運営チームじゃないとできないっていう属人性がすごくあるじゃないですか。ちょっと無理かもしれないことに挑んでみようという気概があって、これは他の公開空地でなかなかやれないことだと思ってるんですね。岩本さんに聞きたいんですが、なんでこんなめんどくさいことを一生懸命やろうとしてくれたんですか?


岩本:なんででしょうね(笑)。まずおもしろそうじゃないですか。できない方法を考えるんじゃなくて、どうすればできるかを考えていく方がやっていて楽しいですし、何より僕はキャストを「実験の場」だと思っているんです。実験によって、化学変化が起きて、新たな価値を街に還元していける土壌がキャストにはあって。外の人には、他の商業施設のイベントに比べて、僕たちオーナー側がすごく手を動かしていると見られているようで、「オーナー側がよくここまでやりますね」って言われたりするんですけど(笑)。


田中:うれしいなあ。


岩本:自分たちがおもしろくなければ誰もおもしろくないじゃん、というのが根底にあるんですよね。元子さんも熊井さんも、ちょっと他では実現できない、いい意味で突拍子もない提案を持ってきてくださるので、ワクワクするんですよ。


田中:ああ、うれしい。


岩本:広場の使い方に、正解ってないじゃないですか。来てくれた人がつまんなかったら、次はもっと楽しい場をつくればいいだけなんで、チャレンジはどんどんしていきたいんです。


田中:こう聞くと、私たちって、実験の場であるっていうキャストの精神を本当に生かしてますよね(笑)。結果が完全にわかっていることって、ワクワクしないし、実験してみようと思いませんよね。キャストの実験性やワクワク感って、すごくこの企画に必要だったな、と改めて思います。


熊井:いや、ビジネスの世界でここまで実験的精神を発揮するってすごいことだと思うんです。グランドレベルさんの提案も、結果をお約束します、というよりは、やったら絶対おもしろいけど、おもしろさの中身は来てくれる人次第かな、みたいな(笑)。


岩本:余白残りすぎなんですよね。でもそれがいいんですよ。


熊井:余白を残すことで、人々のやりたいという気持ちを高めるというか。それってキャストが持つ、一人ひとりが主人公になって生きていける環境をどうつくるか、というコンセプトにひも付いているので、すごくキャストらしいですよね。


田中:もう一つ、キャストは「渋谷のど真ん中」という超消費かつ超受動しに来る場所にあるからこそ、次はこうなんだよ、とその次の方向を示せるという意味で、場所としてもすごく良かったと思っています。


岩本:やっぱり渋谷っていう街の特性もありますよね。渋谷ってなんかワクワクする響きじゃないですか。周年祭のような企画を続けることで、渋谷の街なかにこんなおもしろい広場があるってことが、新しい渋谷の価値になっていく可能性を秘めていると思っていて。それは、「渋谷=楽しい街」というイメージに合致しているので、受け入れられ、実験が成立するんだろうと思うんです。


田中:それはありますよね。私は渋谷だからこそ、消費やスタイルの最先端を謳うのは、負けかなと思ってるんです。それって前時代的な気がして。渋谷のど真ん中でやることは、そこから一周回った何かじゃないといけないし、一時的に話題になって「あれ流行ったよね」と言われるよりも、新たな問題提起をしたり、何かを深めたりする代表の地でありたいですよね。



肩書きの鎧を脱ぎ、「自分を解放できる場所」が求められる時代に


熊井:僕、思うんですけど、グランドレベルさんが提唱する「マイパブリック」って、突き詰めると「人間らしさって何よ?」ってことですよね。


田中:その通りです。私たちの究極の目的は、「人間が充実して生きていける環境づくり」なんです。人が能力を発揮して楽しむことってごく個人的なことじゃないかと思っていて、人ってどうしたらワクワクするんだっけ、どうしたら楽しく過ごせるんだっけ、という根源的な部分は、アフターコロナではますます考えられていくと思っています。


岩本:まさにコロナの影響で外出自粛になって、外に出て散歩したりする人が増えましたよね。外で自分なりの時間を過ごすという刺激に今多くの人が触れていて、キャストの広場がこれから人々にどう新たな刺激を与えられるか、というのは、追い風が吹いている気がするんです。外で過ごす時間の質がより問われるというか、いい解放感を味わえることが、今まで以上に強く人々の心に刺さってくるような環境になってくるだろうなと。


田中:わかるわかる。なので、今自分は人間らしくあるかな、本当に充実してるかなっていうことに、人々は敏感になっていくだろうと思っています。


熊井:オフィスにいると肩書きの鎧を背負ったような状態だけど、広場的な場所では鎧が取れて、役割を超えて「本音」になっていくような感覚があるんですよね。キャストの広場にいても、よくそんなことを感じます。


田中:オフィスだけでなく、家族といても、オンラインのコミュニティにいても、みんな背負うものや演じているものがありますが、広場という不特定多数の人と触れ合う場所では、何かしら脱ぎ捨てる部分がありますよね。そういう自分を解放できる場所ってこれからすごく求められると思っています。どこにいても何者かでいなきゃいけないっていうのは、オンラインの世界でさえ、余計にそうなっているところがあるので。


岩本:本当にそうですね。なんか身軽になりたい感はありますよね。


田中:究極の身軽って、知らない人といきなりハイタッチするような、「お前誰?」みたいな(笑)。広場っていつものメンバーがいる一方で、その瞬間にしか出会えない人もいて、そんな通りすがりの出会いが、何者かを判断されずに人間として接している瞬間だと思うんです。そういう場としても、広場は絶対求められているんですよね。


岩本:打算のない出会いが、心を身軽にさせますよね。


熊井:昨年の周年祭で、広場に置かれていたスツールを楽器にしてボコボコ叩いてたんです。そしたら通りすがりのツーリストたちがハイタッチしまくってくれました(笑)。


田中:あのスツールが、どう使われてもいいよ、という存在だったことがそういう風景を呼び起こしていったと思うんですよ。


熊井:しかも、そういう時って自己紹介とかせず、目が合った瞬間にバチっと来るようなコミュニケーションなんですよね。


田中:名前とか立場なんか気にせず、一緒に遊んじゃおうよっていう感じがあって、それって人間同士で出会って成り立つことなんですよね。これからもそうなるように仕込んでおきたいと思います。


熊井:僕、そういうグランドレベルさんの取り組みって、偶然の奇跡を奇跡にせずに、「奇跡の再現性をどう高めるか」という試みだなと思ってるんです。


田中:おっしゃる通りです。コミュニケーションからソフト、ハードに至るまで、いろんな方向から頑張っていけば、いい偶然が起こる確率が限りなく高まる環境づくりが1mmでも叶うんじゃないか、と思ってやっています。


熊井:ビジネスの世界では、「偶然」なんて言ったら許されない雰囲気がありますけどね(笑)。


岩本:ちゃんと用意してこいよ、と言われる(笑)。


熊井:僕らがやっていることは、単にイベントとして見られているけど、そこでは、「広場がどうあるべき」で、なんなら「人間がどうあるべきか」、さらには「奇跡の再現性をどう高めるか」も同時に考えていて。イベントの紹介をすることはあっても、その裏側にある考えや哲学を伝える機会はなかなかないので、そういう機会をつくっていけるといいですよね。


田中:周年祭の企画は、イベントとして素っ頓狂なことをやらせたり、やって見せたりしたわけじゃなくて、「普通ってもっと素敵じゃない?」とか「普通の質のバージョンアップってこうじゃない?」っていう提案だったりもするので、これって営みの話なんです。イベント色して見られないようにするためにも、周年祭をきっかけに何か継続してやれることや、定着するようなことをしていきたいですよね。


熊井:昨年の周年祭では、広場で使うスツールや道具も周年祭の期間中にみんなでつくったり、使ったりしながら、それが広場に定着していくような試みもされてますよね。


田中:ただ管理されている状態じゃなくて、自分の能力を発揮して手を動かせるようになった方が楽しいなと思っていて。今はそれが求められている過渡期だと思っているんです。なので、キャストで私たちがやっていることは反逆性もあって、すごくパンクだと思うんですよ。大きな立場から見れば、「オレたちの言うこと聞いてりゃいいのに」ってやつじゃないですか。めんどくさいし(笑)。


岩本:僕らはそんなこと思ってないですよ(笑)。逆に、元子さんたちに「どうしたらいいですか?」って聞いている立場ですから。


田中:それがすごく珍しくて、そんな心持ちでいてくださる大きな企業さんはまだ限られているんです。かなり先を行っているパンクだと思いますよ。


岩本:今の開発って、どの街でも広場的空間をつくるのが当たり前になってきているものの、なんとなくつくられたように感じるところもあるんですよね。


田中:そうなんですよ。今まで公開空地には、免罪符的に「ちょっと開いてあげました」っていう渋々感があったんですけど、キャストの広場の使い方によって、「広場をこう使いたい」っていう使い方が最初に出てくるつくり方もあるんじゃないか、と思わせていきたいですよね。



自分の好きなことを振る舞いたい。自分らしさを引き出す広場の可能性


熊井:子どもの学びや遊びをテーマに活動してきて、グランドレベルさんの活動を教育的な観点でずっと見てたんですが、「人々がどう能動性を発揮していくか」というのは、まさに教育なんですよね。僕は、教育の場が学校から街全体に広がることで、街がおもしろくなればいいと考えていて、それを実現する場所の一つに広場があると思うんです。海外の広場で人が集まって議論したりしているのを見ると、めざすべき人間像がどう育まれるか、という時に、それがちゃんと都市に落ちてるなって気がするんですよ。


田中:海外のディベートおじさんとか、教えたがりのおじさんとか、ああいう人たちが怪しまれずに子どもたちと触れ合える場所がやっぱり必要ですよね。私の知り合いにも、数学の楽しさを振る舞いたい人とか、歴史の楽しさを話したいっていう人がいるんですが、「ちょっと変な話聞いてきたな」という体験って街じゃないとできないじゃないですか。
今の街ではみんな普通の顔して歩いているので、どんな大人なのかが子どもに伝わりづらい。街で大人が堂々と「変な人」であることを示せなきゃいけないし、そういう自分の好きなことを振る舞いたい、という思いを発露できる場としての可能性が広場にあるんじゃないかと思っています。


熊井:本当にそうですよね。でもそういう哲学で広場を用意している人たちってものすごく少ないと思うんですよ。


田中:少ないです。20世紀型の広場はなんとなく広い地面をつくっておけば広場的になる感じがあったんですが、本来は人の営みや慣習から掘り下げて考えていかないと、日本らしい広場のあり方というのがわからなくなってしまう。ハードのつくり方も大きく転換する必要があるんじゃないかと思っています。


熊井:まさにハードを整備するとともに、そこで過ごす人々の営みも豊かに育てていこうっていう話ですよね。


田中:そうです。今までは余白と言われていた広場ですが、逆に「こういう使い方がしたい」という思いから発生して、余りに建物を建てたっていい。「どう生きていきたいか」ということが、もっと主軸になって都市計画されていかないと、世界平和には行き着かないなと思っています。


熊井:「どう生きていきたいか」っていうのは、人だけでなく企業もそうですよね。


田中:そうそう。企業が「オレたちこんなこと考えてるんだぜ」というのを人々に振る舞う、企業がやる「マイパブリック」は広場のつくり方にも現れるんです。重要なのは、誰に対しても手を広げて、想像し得ないことが起きてもそれを喜べるスタンスがあるかどうか。絵に描いた風景が生まれることを期待しているような広場が増えつつありますが、「キャストがやってることは全然違うし」って言いたいです(笑)。


熊井:やっぱりこういう時代だから、そういうのを声にしていかなきゃと思い始めてるんです。あらかじめ青写真があって、そこからいかに偶然性や想定外を排除していくかというものと、そうじゃないキャストのような取り組みって全然考え方が違うので。


田中:そうそう。これはやっぱり東急さんやこのイベントチームが評価されなきゃいけないところですよね。想定外で喜べるってことは、管理する側にとって一番やりたくないことじゃないですか。


熊井:普通だったら怒られますよ。


岩本:楽しいじゃないですか、こういうの(笑)。


熊井:いやいや、他のクライアントさんだったら怒られるから。怪我したらどうするんですかって。


岩本:どうやったら怪我しないかをしっかり議論して、準備すればいいだけの話だと思ってますよ。


田中:このオーナーさんのスタンスが評価されてほしいな。保守的に管理するんじゃなくて、両手広げておおらかな姿勢で、利用する人たちから生まれる自発的な秩序を大事にしていくというのは、他とはまったく違う管理方法なので。


岩本:どういうやり方したって、リスクは絶対どこかしらに潜んでるんです。それを心配し始めちゃうと何もできないですから。まずはやってみることが本当に大事なんだなというのは、キャストの広場に携わっていてすごく思いますね。


田中:うれしいですね。ルールで固めた管理のしやすさとその場で得られる体験の豊かさは天秤関係なので、キャストのリスクを恐れない姿勢があったからこそ、豊かな取り組みができたと思っています。


岩本:やっぱり広場感のない渋谷だからこそ、広場に補助線を引いて人々に刺激を与えることが、キャストの大事な役割だと思っているんです。リスクを取りづらい世の中で、誰もやらないからこそ、キャストはどんどんチャレンジして、渋谷を楽しい街にしていかなきゃいけない。キャストにはその役目があることを強く感じています。


田中:これから未来に向けて、広場をはじめ、街なかのいろんな場所が、人々にとって自分らしく過ごせる居場所になっていけばいいですよね。それが、アフターコロナの世界で絶対明るい要素になると思うので、キャストでの実践を通して発信していきたいです。